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学校と教育 (2007年)

 
公立学校民営化その後:

高齢者福祉同様にスウェーデン国内で、15年ほど前から推進されてきたのが、公立学校の民営化への移行でした。当初は、もの珍しさもありましたが、果たして経営面で成功できるか不安定な材料が多く、全国的にはそれほど改革は進みませんでした。

しかし現在では、雨後の竹の子のように各地に設立され、一部では氾濫状態にまでなって来ました。生徒の数には自動的に制限があり、公立の学校から私立の学校に、生徒の引き抜き合戦が、毎年夏休み前に実施されています。

それは生徒数によって、コミューンから支払われる教育費が支給されるシステムだからです。経費の全額を、生徒の家族に支払い請求をすることは、禁止されています。生徒が多いほど学校側の経教育補助金が多くなり、 余裕ある経営できる事になります。そのために、学校の特徴を生徒や家族に、強くアッピールすることが必要となります。経済的に余裕のある家庭の子供が、人気のある学校に集中することになり、また、イスラム教徒専門の学校が発足したりと、 家庭の貧富の差による問題が全くないわけではありません。

 

私立の学校は、生徒のレベル向上をあげることにより、一人でも多くの生徒を入学させたい反面、何らかの障害があり、 家庭内問題、経済面、または教育面で問題または面倒な子供たちの受け入れを拒否するようになりました。問題児を抱える家庭の子供は、私立学校に入学したくても受け入れてくれないために、仕方なくコミューンの公立学校に通うことになります。

コミューンの学校の一クラスには、多くの移民者の子供が集まり、それらの子供の教育レベルも低く、さらに日常の学校生活と教育にも、付いていけない児童が集まります。  教室内は、いつも蜂の子が騒ぐようにやかましく、規律もなくなり、指導する側の先生も、教育に十分力を注ぎ込むことが困難になり、先生の移動も多く なりました。

その結果無資格である大人が、派遣会社から学校に配置されて教育に当たることになります。教員有資格者は、教員組合との 関係から、ある一定の給与を保障しなくてはなりません。しかし、派遣会社からの職員には、時間給支払いとなり、組合との規定よる教員手当てを、そのまま支払う必要はありません。
 

そのため、コミューンの政治家から 、一定の予算と枠内で経営をするように、強く要求されている学校長は、経費節約のために必然的に、安い給与の無資格者を多く雇用することになります。さらに派遣職員を採用する利点は、いつでも首に出来ることです。 当然学校全体の教育のレベル低下は避けられません。その結果は、教育に関心を持ち子供を預ける両親は、その学校から私立学校へ子供を移籍させます。つまり、学校はコミューンからの教育補助金はすくなり、教育や職員への投資が出来なくなります。最悪の場合は、学校閉鎖もやむ得なくなります。

その例として、 ソルナ・コミューンの宣伝文句によれば、国内で一番経済の発展が進んでいる財政豊かなコミューンとなっていますが、教育面では私立学校に、優秀または普通の生徒が集中し 、その反面公立学校には、貧しい家庭の子供、両親の教育レベルの低い家庭の子供、アシスタントを必要とする何らかの障害を持つ子供、最近移民して来たスウェーデン語が理解出来ない子供たちが、生徒の半数以上となりました。

そうした問題のある学校から、自分の子供を移籍させたい両親が多くなり、結果的には今年の秋の新学期には、経営上絶対必要数の生徒が足りず、さらに免許を有する教職員が他校に移動を希望するなど に併せて、財政難など各種の問題が発生し、ついに長い歴史を有する公立小中学校は閉鎖する事になりました。

一部の経済的に余裕のある家庭の子供や、エリートを目指す家庭の子供には、私立学校はその目的を果たしていますが、貧富の差をまともに反映している、学校の民営化は果たして、本当の民主主義の国が進めていく、「全ての子供に平等に与えられるべき教育」なのかと疑問に思います。

もちろん私立学校でも、例えばあるイスラム教徒の学校は、教育庁の指導基準に従っていないとして、今年秋から学校継続許可を停止させられたところもあります。

      ( 2007年6月17日 記載 )

                        

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