職員さん、立ち止まり、聞いてください、ほんのわずかな時間をください。入居者が前を通る職員に話し掛けようとしても、職員は忙しく駆け回り、立ち止まってくれても「今は時間がないから後から来るよ」と通りすぎてしまう光景をよく見かけです。
そして、その約束した職員は、ついに入居者の前には来てくれなかった。来てくれても随分と時間が過ぎた後であり、痴呆症の入居者は、自分は何を言いたかったのか、すでに忘れています。
これはスウェーデンに限らず、日本の施設でもよく見受けられる状況です。
痴呆症障害者は、職員と多くの話をしたいのではなく、誰かが自分のことを気にしてくれないかと、コンタクトを
待っているものです。たった一言「おばあちゃん元気?」と声をかけて欲しいのです。
椅子に座っている自分の前に立ち止まり、手を握ってくれて、顔を見つめて欲しいのです。微笑みが欲しいのです。
私はいつも介護職員に、「ほんのわずか、5秒でもよい、立ち止まり声をかけてください」と指導しています。話をする時は必ず相手の目の高さ、または下から相手の目を上に眺めるように話をしてください。
そして相手の手をやさく握り返してください。肩でもいいです。手をかけて話をしてください。
それだけで十分に相手は喜び、納得してくれるものです。その後で、「今忙しいからまた後で来るね」と言えば、本人は納得してくれます。なぜならば、本人はすでに話をしたいという希望がかなえられたからです。
こうした、ほんのわずかな時間が、痴呆症入居者には必要なのです。そうすれば、声をあげて騒いだり、物をたたいたり、叫んだりしなくなります。お金もかからない、教育も必要のない一番簡単な介護の方法です。
(2001-11-19
記載)
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