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福祉情報(2005年)

 
サラのポールヘム高齢者施設告発事件以後、高齢者福祉は改善されたか??

スウェーデンの高齢者福祉を勉強している人には、1997年にソルナ市の民営高齢者福祉施設、ポールヘム・コールデン事件が元で、当時の准看護婦サラ・ウェグナルト( Sala Wägnet )が、施設の介護状態の悪状況について訴えたことから、彼女の名前を使用してサラ法が出来たのは知っている人も多いと思う。この法律は介護職員の介護ミスなどを報告すべきと義務付けたものであるが、その結果現在はどのようになっているのかを調べてみた。

サラは、もともとカロリンスカ病院に外科医准看護婦として勤務していた。問題の発生したポールヘム・ゴールデンの介護職員は、会社ICCが民営化による利益追求政策で人員整理をしたために、残っていた職員の仕事が増加し、体力的にも疲労がはげしくなったと数人が退職し、その職員不足を補うために、給与を上げて職員の募集をしていた。

サラは給与がカロリンスカ病院よりも数百クローネ多いこと、民営化で職場も働き安いのではないかと期待して応募しすぐに採用された。勤務を始めて予想していたのとは違い、老人への介護はひどく、床ずれ老人もいたり、壊疽の老人もいたりと病院と異なりその介護はひどく、ついに看護婦協会にその実態を訴えたものである。この施設には介護補助器具も少なく、上下移動の出来るベッドは少なく、トイレの高さを調節する補助器具もなく、そのために老人を抱え上げたりと、背中や腕の痛みを訴える介護職員も多い。

マスコミに取り上げられてから、その施設の介護状況が、早期民営化の再検討となり、それが社会問題となった。当時のソルナ市当局の取った処置の速さは、日本の官庁では真似の出来ない速さで、施設との民営化契約を規定通りにしなかったことを理由に廃止した。

当時の施設の民営会社は、今ではさらに大企業にと発展しているICCである。本社はデンマークにある。当時の幹部職員の大幅移動も会社評価を上げるため改革された。当時のICCは、高齢者福祉民間企業ではもっとも大きく、全国に800人近い職員を持ち、年間200ミリオンの取引額を有していた。

この事件後社会省は。全国で最初の高齢者福祉協議会(査察官の職務)を、ストツクホルム・コミューンに設置した。インスペクターは、コミューンにある150から200のホームヘルパー企業、デイケアーセンター、シュークヘム、サービスハウス、グループホームなど各種高齢者施設を査察することに確定。査察結果を政治家に現状報告とシステムの統一化の必要性などについて報告することになった。目的は欠点や問題を指摘し裁くのではなく、どのような改善が必要なのかをアドバイスすることにある。

さて、それから7年後彼女の名前を付けたサラ法ができるまでになった、高齢者施設の介護は、改善されたのであろうか。補助器具などは政府の補助金援助などもあり、コミューンも介護問題を再検討し改善されたきた。しかしその後の経済不況は、これらの改善が十分活用されないまま、今は経費節約で人員整理による介護職員への労働負担増加、またはストックホルム・コミューンのように入居範囲基準を非常に厳しくし、入居させないでしばらく待ち、入居者が少なくなって開き部屋が増加して不経済であるために、サービスハウスを廃止すると、資金周りの良い高齢者アパートに改造し、24時間体制の職員を整理、さらに時間訪問のみで経費の掛からない、ホムヘルパー派遣で料金を取る方法に変更した。

何のことはない結局サラ法は、余り役に立っていないことになる。年末のテレビ番組で上記のサラがインタビューされ、ポールヘム問題がマスコミに取り上げられ、しばらくは、多くの施設も改善されたが、今はその当時以上に素晴らしい良い介護とはなっていない。特に家庭介護を受けている高齢者は当時よりひどくなり、一番の被害者であると発言していたのが印象に残った。

   ( 2005年1月4日 記載 )


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