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福祉情報(2007年)

 


民営化その後: 2.

民営化で潤うのは大企業のみか:

国が推進した民営化への目的は、税金節約が主たる目的でしたが、同時に中小企業が参入することにより、地域市民に一歩近づいた福祉介護を目標としていたものです。しかし、民営化当初は、その目的は達成する事ができましたが、時の流れと共に、その目的はいつの間にか、利益追求を求める、一部企業の儲け主義に変わってしまいました。

入札に関しても、大企業はその分野の専門家を雇用し、そうしたことの経験の少ないコミューンの担当職員は、その内容を十分に把握する経験と能力も少なく、数字のみに追われて落札したのではないかと、現在厳しく追求されています。スウェーデンの職員の責任分野に対する考え方は、日本とはまったく違うことを、まず理解することが必要です。

例を挙げれば、独占専売している酒専売公社は、数年前に地域の店長が洋酒等の輸入業者に対して、その会社の取り扱い商品を優先的に販売できるように便宜を図り、 その見返りとしてレストランの招待を受けたりして、贈答品を受領したりして、全国的に問題になりました。

その責任を問われたのは、店長当事者のみで、その上に立つ幹部職員および、社長はなんらの責任追及はされませんでした。特に専売公社の社長は、当時の首相の妻でしたから、誰も追及することはしませんでした。反対に退職金の増加を求める社長の要求を認可したほどです。

他の事例では、ある警察署の警察官が、刑事事件を起し裁判で有罪と判決が確定、懲戒免職の処分を受けたにもかかわらず、犯罪を犯したのは本人であるとの判断から、直属の上司に対する、監督および指導不行き届き等の責任追及をすることは何もありません。

さらにそうした職員がいることに対して、国民にお詫び等をすることも、署長以下いずれの幹部もしません。あくまで本人の問題とする個人主義は徹底しています。それでは、何のために幹部として、高給与を得ているのかという疑問は、日本的なのかも知れません。

こうした社会構造の中では、コミューンの職員が、入札に関して、何らかのミスが判明し、さらにそれが証明されても、一切の責任は取りません。両手を広げて、「それはすでに過去のことですから・・」と説明され、中小企業は、そうした職員の入札査定により、仕事が大企業の手に確定し た時点で、泣き寝入りをするしかありません。

さらに入札で無理して低価格で確保した仕事は、いずれ経営困難となり、結果的には廃業せざるを得ないのが、現在のスウェーデンです。

コミューンは税金で支払う介護費用を、国民に還元するのが、本来の仕事ではないかと思われますが、結果的には大企業の手に税金は支払われて、その利益は外国資本の会社の手に残り、国民への還元は何もありません。税金から利益をあげた大企業の幹部や社長は、優雅な夏休みをヨットや島のサマーハウスで過ごしているその間、職員は、わずかな給料で日夜厳しい肉体労働をしているのが、スウェーデンの経済構造です。

政府は、先日の国会討論で、「貧富の差が数年前に比較して、明確に大きくなってきている」と発言しています。しかし、その対策は何も提案されることは無く、対策も実施されないまま、さらに貧富の差は拡大しているのが実情です。

高齢者福祉も同様で、高額年金受給者と、定額年金受給者に対する、高齢者施設の対応は、明確に分離されつつあります。以前に高福祉の国スウェーデンの代表スローガンは、 「全ての国民に平等な社会福祉」でしたが、今は昔の夢物語になりつつあります。こうした結果になっている民営化は、一体誰のための民営化でしょうか。

報道によれば、7年間ガン患者の家庭介護を担当し、利用者からもその介護内容はとても良いとと認められ、この会社に勤務したい職員は多く、職員不足 の問題もなく、家族も満足していました。その中小企業の会社ASIHは、先日低価格で入札した会社との競争に負けて廃業しました。その企業の介護内容の クオリティーの低いこと、さらに他の施設で問題が発生した経歴があるにもかかわらず、コミューンの政治家および職員は、低価格を理由に大企業に落札しました。

一度契約をすると、その契約期間中は、よほどの問題が発生しないがきり、落札した会社の経営権は続行されます。多額の税金が、また利益追求の会社に支払われることになります。市民の厳しい抗議にも、関係者は全く耳を貸しません。誰のための民営化でしょうか・・。

介護を受けるガン患者を優先する思考はまったく見られないと、廃業した職員の言葉でした。

  ( 2007年6月15日 記載 STV.DN )

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