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福祉情報(2008年)

 
民営化は誰のために:

 

今年3月にスウェーデンの南部マルモ・コミューンにある高齢者住宅で、90歳になる女性がシーツでベッドに縛り付けられた事件が発覚しました。その結果当時女性をベッドに縛り付けた介護職員3名は、介護職の勤務を続けることを禁止されました。介護職員 は女性がベッドから落ちないようにと、安全のためにしたと説明をしていましたが、女性はシーツで固くベッドに縛り付けられていたために、自力でベッド から起き上がることはできず、重要な介護ミスと肉体的に本人の自由を拘束したとして、レックス・サラ法(Lex Sarah)(一番下に簡単な説明があります参照してください。)によって社会庁に訴えられたものです。
 

こうした高齢者介護に関する事件や事故は、特別に珍しいものではありません。民営化により、民営会社は利益を追求、効率化を重要視するあまり、経費節約で職員の整理は、限度を超えるまでに達しています。当然職員への負担は増加するのみで、ベテラン 介護職員の退職が続き、低給与の移民者や無教育職員の採用となり、職員の移動も地域によってはとても煩雑になっています。

スウェーデンの医療および福祉事業において、民営化の中で大手三社( Aleris, Carema, Attendo Care )の一つであるAttendo Care 会社は、民営会社の中でも、一番多くLex Mariaの問題を起こし訴えられている会社です。2006−2007年の間で28件も社会庁に訴えられています。 さらに現在19件もの問題を処理中です。あるコミューンでは、Attendo Care 会社との民営化契約の更新を廃止し、以前のように高齢者福祉施設を 、コミューンで経営することに決定したところもあります。


利益追求のためにぎりぎりまでに職員整理をしていながら、Attendo Care 会社は昨年のみで26億クルーネの売り上げを計上しました。そして社長の昨年の給与は4千5百万クルーネと ボーナスを含めて莫大な金額を得ています。しかし職員の給与はいうまでもなく低給与であり、この会社に勤務する介護職員の離職率が高いのは当然のこととも言えます。

ある退職した職員は、匿名で報道記者に、「会社はうたい文句とは異なり、高齢者を商品としか見ていない。福祉の安物買いをしているのみであり、それを承知で民営化する、コミューンの政治家に責任がある」と テレビで訴えていました。

テレビ・ドキュメントでは、ある老人は、昔のイメージを信頼して、高齢者施設に入れば、高齢者や職員との会話もおおくなり、楽しく一緒に食事もできると 思い、地域の高齢者施設に入居を希望して入りました。しかし現実には職員には老人と会話する時間もなく、食事は冷凍食を暖めたものを部屋で一人で食べさせられている 。入居前の説明や約束とは大きく違うと抗議していました。 さらにこの老人は、難聴で補聴器の申請をしているのにもかかわらず、いまだに会社は手続きをしてくれないと嘆いていました。


この会社は、さらに税金逃れのために、外国に二つの小会社を設立し、これらの会社にインボイスを回すことによる税金対策をしていることが判明、現在国税庁は調査中です。 国民の税金で高齢者施設を経営しながら、脱税対策で外国に子会社を持ち高所得を得ている福祉会社、それを承認しているコミューンの政治家たちの馴れ合い、スウェーデンも例外ではありませんでした。

先日日本の知人から、「ある放送局がスウェーデンの高齢者施設を訪問し報道をしていたが、とても素晴らしい施設だった」と、知らせてくれました。場所と内容を聞いて、たまたま国内でもまれに見る良い施設を 選抜して、取材報道したものだとわかりました。 その報道のように良い施設は、国内には数えるほどしかないことは、報道では説明していなかったそうで残念に思いました。

ただ心配なのは、この放送を見た日本の おおくの人は、きっとスウェーデン国内のどこの施設も、そんなに素晴らしいものだと誤解をするだろうなということです。現在の高齢者施設は、残念ながら 10年以上前の良き時代の施設は、とても少なくなりました。 日本のマスコミは、こうした事実にはなぜか興味を持たず報道しません。
 

サーラ法 (Lex Sarah) は、社会サービス法に1999年に追加され、2000年7月1日から施工されました。この法律は、公共事業体と民間事業体の両者を対象としています。
サーラ法には次のように記載されています。

「高齢者または機能障害をもつ者の介護に従事するすべての者は、高齢者または機能障害をもつ者が良好な介護を受け、安心できる状況のもとで生活できるように留意しなければならない。
高齢者または機能障害者をもつ者が劣悪な状況にあることに気付いた者、またはそれを知った者は、直ちに社会委員会に通告しなければならない。状況が速やかに改善されない場合には、社会委員会は、その状況を監督機関に届けなければならない。


マリア法 (Lex Maria)(1982:722) は、保険医療にかかわる場における深刻な損傷事態が発生した場合の職員の通告義務に関する法律です。マリア法には次のように記載されています。

「県またはコミューンの保険医療部門において、治療処置や検査などを受けた高齢者が、重大な病気を発病したり損傷を受ける危険性があった場合には、直ちに社会庁に届出なければならない。」

資料参照:SOS


    ( 2008年5月5日 記載 TV4、SOS 2008年5月9日 追加記載 )
 

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