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福祉情報(2008年)

 
サラ法は、笊(ざる)法か・・

スウェーデンの福祉について勉強している人にはなじみの、介護の問題を通報しなければならないと規定したサラ法があります。しかし、このサラ法は、本来の法律目的は理想的ですが、この法律には何らの規制とか罰則がなく、ある意味では無効力の法律でもあります。

サラ法は、民間委託された施設において、入居者に対する介護に問題が多くあるとして、場合によっては施設から強制退職させらることも覚悟の上で、報道に告白した準看護師サラの名前をつけた 社会サービス法の中に追加した条項です。

 

なぜサラ法がざる法なのかと言いますと、規定では介護の職場で何らかの問題がある時には、その施設等の責任者に通報しなければならないと規定しています。しかし通報を受けた責任者 が、監督官庁に報告するかしないかは、その責任者の判断に任せています。それは施設等にとって、営業面や会社のイメージなどに障害があると判断した場合、通報を黙殺しても 、なんらの拘束を受けないことになります。

 

時にはサラ法を信じて、問題を通報した職員を会社への忠誠心が足らないとして、職場から追放したり、仲間からイジワルを受けたり、会社によっては職員に、介護問題についてマスコミと話すことを禁止すると、緘口令を出している施設もあります。

勇気のある職員の訴えにより、そうした事実がマスコミに取り上げられても、責任者は両手を広げて「大変に遺憾なことではあるが、今後そうしたことのないように努力します」と、政治家のような発言をするのみです。当然そうした問題が発生している事実があり、職員や家族から抗議を受けても、罰則規定が無い以上、彼らはそれをほとんど無視しているといっても過言ではありません。


そうした事例は、ここ数年あとを絶ちません。日本からスウェーデンの高齢者施設を訪問する多くの人や、TV報道取材班などは、こうした事実はあまり知らせてはいません。また取材をする時に、スウェーデンの社会福祉に対するイメージと異なるために、意識的に日本で報道しない傾向があります。

つまり施設側ではあまり重大な問題として取り扱うことはなく、反対に問題を通報した職員狩りをして、その職員を追放している状態です。日本で一般的に報道されているほど、現在の スウェーデンの高齢者福祉は、全てが良いものではありません。当然施設の見学を許可してくれるような施設は、問題がないから視察を許可してくれるものです。それでスウェーデンの福祉施設は素晴らしいと書いている人たちは、こうした事実をがあることをよく把握して欲しいと思います。

 

問題となった施設の実例を記載します。ストックホルム市内のある高齢者施設では、娘さんが自分の母親をグループホームに訪問した時、カーテンは締め切ったままで した。母親はおむつの中で数回小用を足してずぶ濡れで、娘さんが訪問した午後2時までに、朝から一度もおむつ交換をされていないと母親は 説明しました。この話を聞き、職員に注意と改善を依頼をしたにも関わらず、その後数回同じ問題があり、責任者にも通報したがすべて無視されていたものです。娘さんが母親を訪問する度に 、母親は「80歳の誕生日は、この施設では受けたくない。早く出たい」と娘さんに泣いて訴えていますが、娘さんのアパートは狭く在宅介護のできる住居ではなく 、母親を受け入れることもできないと嘆いていました。

 

施設では多くの高齢者が介護について抗議をしても、相手にしてくれないと訴えている施設もあり ます。また職員に苦情を訴えると、介護の意地悪をされることを恐れて、黙っている高齢者もいます。ある施設では、入居者が職員が見ているテレビ番組を一緒に見たいと言うと、「シッーうるさい 。あっちに行け」と言ったり、「トイレに行きたい」と言えば、「今はテレビを見ているから後にしろ」と、高齢者の願いを無視続けた施設があり ました。あまりにもひど過ぎると、施設長に訴えても取り合ってはくれず、高齢者があまりに可哀そうだからと、パート職員がマスコミに訴えたことから問題となり、施設の介護職員のほとんどが配置換えとなりました。

ストックホルムの隣にあるリンディゴー・コミューンのあるシュークヘムでは、介護問題を15人の介護職員が署名して、コミューンの高齢者福祉課に訴えたにも関わらず、コミューンは無視し、さらに施設長から職員に対して厳しく抗議をしました。そのため、それ以後は職員は、介護問題が発生しても、退職させられることを不安になり、誰も報告することはしなくなりました。

国の会計監査局が全国の民間委託で経営している、高齢者施設の職員の雇用契約の中に、発言の自由を認めると記載してあったのは、47件中半数の23件のみであると報告しています。発言の自由を民営企業にも法律で認めるべきだと、会計監査局は報告しています。

しかし、その職員たちに対しては何らの問題追及はされず、他の施設で勤務を続けています。こうした現状については、日本ではほとんど報道され ることのない、高福祉社会のスウェーデンの姿の一部でもあり、また実情でもあります。施設に勤務する日本人介護職員は、「私が高齢になったら、絶対にスウェーデンの高齢者施設には入りたくありません」と言っていた言葉が思い出されます。

 

日本で報道されるように、そんなにスウェーデンの高齢者福祉が素晴らしいものならば、この国に住む高齢者は、世界中で一番幸せな老後を過ごしているといわなければなりません。しかし、現実はそれほど甘くはありません。政治家たちの意思により、地域のコミューンや施設によって、その介護の内容には、大きな差があるのを、日本からくる訪問者は知っているのでしょうか。

 

  ( 2008年12月8日 記載  DN. SVT. MS )

サラ法については、他のページで記載したものがあります。下記を参考にしてください。

サラのポールヘム高齢者施設告発事件以後、高齢者福祉は改善されたか??

 

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