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福祉情報(2009)

   

経済不況が与えている高齢者福祉への影響は・・

世界的経済不況は、スウェーデンにも大きく影響を及ぼしてきています。スウェーデンの自動車企業及びその下請会社にも、この不況は大きく影響を与えています。例えばVOLVOと並ぶ自動車会社SAABは、USAの経済不況の影響をまともに受け、スウェーデン国内にある生産工場では生産制限をし、地域の産業のみでなく、その下請け会社にまで大きく響き、SAAB会社が予約していた機材の予約取り消しのみでなく、今後の受注の将来への見込みはないと判断、一部では人員整理のみでは対応できず、ついに倒産した会社は一社のみではありません。

倒産した会社に労働者の
30%以上が勤務していた、ある地方のコミューンでは、人口が少ないうえに会社および労働者からの税金収入が大幅に減少し、失業手当の支払いが急激に増加したことによって、コミューンの経済圧迫に拍車をかけました。失業により市民の家庭経済は厳しくなり、たとえば外食も節約をしなくてはならず、地域のレストランは客が減り、その他の商店の売り上げも下がるばかりです。

このような現状にあるコミューンは、学校経費を含む福祉関係の経費も節約しなければならなくなりました。また、他の地方コミューンでは、学校教職員及び高齢者ケアに携わる職員
180名の人員整理を発表しました。これによって、さらに学校教育及び在宅介護の質の低下が避けられない状況となりました。
 

在宅介護にかかるコミューンの経費は、高齢者施設の運営費と比べ、ホームヘルパーの経費や補助器具の経費を計算しても約半分で済みます。そのためコミューンは、絶対的に施設入居が必要な高齢者を除いて、経費のかからない在宅介護を増進しようと努力しています。この傾向は地方のコミューンに限らず、たとえばストックホルムやヨーテボルグ、マルモなどの大きな都市であるコミューンでも、その方向に転換しようと政治家たちは経費節約に努力し、これは全国的な傾向となっています。

施設でのケアを優先すべき認知症高齢者の増加をふまえて、各コミューンでは、可能な限り在宅介護を進めていく方針であり、以前は「コミューンが高齢者の面倒を見る」と公言していた政治家たちも、今では「家庭介護が高齢者には一番良い」と、機会あるごとに発言しています。そして、スウェーデンの政治家たちはその福祉分野にも経費節約を要請しています。

以前はホームヘルパーが買い物や散歩など、健康維持の一環として高齢者の外出をするようにと、介護指導書にも記載してりあましたが、その項目はいつの間にか無視されるようになり、最近では1か月近くも部屋から外に出ていない高齢者がいることも珍しくありません。車いす生活をしている高齢者は、外出どころか自分のアパートのベランダにさえも出してもらえません。ホームヘルパーには、そのわずかな時間さえも、高齢者にしてあげられる余裕はありません。

 

スウェーデンでは、在宅で介護を受けている高齢者には、政府が規定している最低限の介護を提供しなくてはなりません。しかし、そこにも経費節約のために、ホームヘルパーの介護時間の節約が要求されています。例えば、以前はホームヘルパーが高齢者の部屋で掃除をしたり、コーヒーの(お茶)時間に、一緒に座り世間話などの雑談をすることにより、社会的孤立をカバーしていました。しかし、今ではコーヒーの(お茶)時間は3分、トイレの掃除も同じく3分で済ますようなり、当然のことながら高齢者とゆっくり話をしている時間はなくなっています。今では、冷凍食品が食べられるように、テーブルの上に食器を用意して「チンがなったら自分で食べてね」と、電子レンジをかけて出て行くことも当たり前になりました。規定では、高齢者が食べ終わることを確認することになっていますが、食事の遅い高齢者に付き添う時間的余裕は、現在のホームヘルパーにはありません。

介護職員は、高齢者が可哀そうだと言っていますが、一人の介護職員が対応する在宅高齢者の数は、以前の倍に近く、毎日勤務時間内に、受け持ちの高齢者宅を訪問しなくてはならないからです。そのため、このように制限された時間内では、人間的な対応をしている時間はありません。こうした現状は、各種の問題も抱えることになります。
 

例えば、ストックホルムのあるコミューンの在宅介護を受けている高齢者は、毎日午前および午後にホームヘルパーが訪問して介護を受けられる契約をしていました。ある日午前に訪問したホームヘルパーが、ドアーベルを鳴らしても高齢者の応答はなく、外出中と判断してそのまま在宅を確認することなく、他の訪問者へと訪問介護を続けました。

午後に訪問したホームヘルパーも、ドアーベルを鳴らしても応答がなく、外出中と判断し在宅確認することなく帰りました。翌日訪問したヘルパーは、ドアーベルを鳴らしても応答がないので、規定通りに合鍵でドアーを開けて部屋ま中に入りました。部屋のベッドで亡くなっている高齢者を発見しました。医師は死後約一日と判定、2人のホームヘルパーは、いずれも規定に反して、不在報告及び在宅未確認の報告書の記載をすることなく、さらに在宅介護責任者にも報告はしていませんでした。


在宅介護担当責任者は、きまり文句で「とても残念なことであり、こうしたことがないように、今後職員の指導に力を入れます」と発言、県の福祉課からも注意を受けたものの、なんらの罰則規定もなく、身内家族への損害賠償金支払い制度の規定はないために、家族は泣き寝入りの状態です。

これらの問題はすべての在宅介護の会社
(ホームヘルパーの派遣会社)に当てはまるものではではありませんが、高齢者を一人の人間としてではなく、商品扱いにされている日本の高齢者対策に何となく似てきているな、と将来への不安を感じます。

( 2009年3月29日 記載 SVT.DN )
 

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