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スウェーデンの福祉はどこへ:
なり手がないホームヘルパーと介護職:
介護職の社会的地位が低く見られ給与も低いのは、日本ばかりではなく、高福祉を称えるスウェーデンでも同じ現状です。若い人の間でホームヘルパーや高齢者介護職のなり手が少なく、高齢者増加に伴い、将来は必ずしも安定した介護提供ができる保証はありません。
他の職業と比べて低給与であり、工場に勤務する者とはまた違う意味で肉体労働です。高齢者を介護している職員の中には、腕や腰を痛める人も多く、そのため、最近になってリフトの使用が義務付けられましたが、高離職率となっています。地域によって一人の在宅高齢者の介護に、一週間に10人のホームヘルパーが交代して訪問していることも珍しくはありません。
また、長く務めていた介護職員の退職率も増加しています。低賃金だけで無く、民営企業の営利目的による勤務体制がその大きな理由となっています。民営企業は、最低でも7-10%の利益を出すように施設に要求し、仕事の効率化を図るために最低限の介護時間の設定となっています。
10年前には、ホームヘルパー1人当たりの要介護者は、一日5−9人程度でした。食事時間にはコーヒーを飲みながら世間話をしたり、洗濯を一緒にしたり、天気の良い日には散歩や買い物に同伴することも普通に行われていました。
しかし現在では、ストックホルム・コミューンの南部地区(Södermalm)では、ホームヘルパー職員の数は約25%の削減となっています。一日で14−15人ほどの要介護者を訪問しなければなりません。もちろん高齢者とのコヒータイムなどはなく、しかも作業時間や作業内容も細かく規定されていますから、次の訪問先に行く時間を節約するために介護の手抜をすることになります。そのため、掃除もベッドつくりも短時間で行われ、いろいろな問題が発生しています。ホームヘルパーと会話する時間すらなくなった高齢者は、用意された食事を一人寂しく味わうことになり、そこには社会的な会話や交流はほとんどありません。また一日ホームヘルパーが訪問するまで、孤立した生活となります。
この地区にあった経験豊かな民営のホームヘルパーの二つの企業( Ersta
diakoni, Stockholms borgerskap
)は、ストックホルム・コミューンからの支払いが少なくなり、更に高齢者のために十分時間をかけて人間的な介護が出来なくなったと閉鎖しました。
介護職員の組合であるコミューンの報告によれば、30年前には、18
281人もの生徒が福祉課程の高校を希望していましたが、昨年(2010年)はわずか3
041
人と激減しています。しかも学生たちは実習で体験する現場の労働実情を知ることにより、現在では卒業しても福祉分野の職業に就かない生徒が多くなっています。
日本で講演されているスウェーデンの福祉システムは、講演内容の通り福祉システムそのものは素晴らしいかもしれませんが、それが実際に福祉の現場で活用されているかどうかとは別問題です。
政治家たちの高福祉政策に対する理想は高くても、税金を投じなければ支援できない高齢者介護であり、現状ではコミューンに経費節約が要求され、10数年前と比較すると高齢者介護の質は、確実に低下しているといえます。
介護を必要とする高齢者は、増加の一途をたどっています。(前ページ参照)今後、介護職員の確保については、よほどの改善策が講じられない限り、重大な問題に発展すると推測されます。
介護職員組合は、2030年には最低でも15万人の介護職員の増加が必要である計算していますが、政治家たちは、その状況を改善するための策を講じることに興味を示しません。ただ、以前に比べて高齢者施設の介護職は、低賃金であっても仕事に就けるという理由から、外国移民者たちが急増しています(それによって、新たな問題も生じてはいますが)。
スウェーデンにおいても、コミューンの財政逼迫は切実であり、高齢者福祉の将来は不安でいっぱいと言えます。
( 2011年4月6日 記載 STH.
DN. 参照 )
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