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福 祉 情  報(2011年)

   

「サラ法」の改正案

 

「サラ法」の改正案が国会に提出されています。しかし、どの程度その効力があるのだろうか疑問に思うところです。

 

この改正案を読む限り、理想的だとは思いますが、現場に即しているかというと必ずしもそうではないと思う部分があります。今までのサラ法でいけば、高齢者施設、障害者施設のスタッフは、虐待や放置があった場合には通告の義務があ りました。しかし義務であって、実際にその施設で問題があった場合の法的処置はされていません。基本的には個人を処罰するものではなく、そうした問題を事前に改善し、なくしていこうと いう目的だからです。そして今回の改選案は高齢者施設、厚生施設、ディセンター、グループホームなど、社会福祉関連施設全体の 勤務職員に拡大され、実際に起こっている虐待だけでなく、虐待につながりそうな状況が発生した場合にも、通告の義務が生じる というものです。

 

スウェーデンでは公共機関の場合、問題がありと判明した時に、職員の誰かが内部告発しても、その職員に制裁を与えたり、それを幹部や組織は止める権利は有していません。つまり公開と発言の自由が認められています。しかし、ここで問題なのは、民営委託を受けている一般福祉会社などは公営企業ではありません。つまり民営会社や個人経営 では職員採用時に、企業秘密は外部に対して公開してはいけないと、秘密保持の契約をします。どのような問題が機密保持に当たり、どれが機密保持以上に告発すべき重要性を持った内容なのかは明確にはなっていません。つまり組織に対して忠誠心を誓った以上 、会社はその規定を優先します。このサラ法で記載する内容も、実は内部問題となりたとえ法律で報告義務を規定しても、その秘密保持の契約を破ることが正当行為なのかは、判断が困難であり検討の余地があります。

 

建前と本音の違い:

実際には秘密保持を破り、コミューンや関係機関に内部問題を報告した場合、多くの会社はこの企業秘密保持法違反と同時に会社への忠誠心がない職員とみなして、何らかの理由をもって採用規定に準じて退職させるのが普通です。

しかも一度そうした問題で退職させられた職員は、他の同じような職場に再就職することはとても困難となります。

理由は、本人を雇用しようとする会社は、必ず以前の職場に電話確認して本人の勤務状態や、成績、問題点などの確認をするからです。その時に以前の会社が個人評価の良くない返事をした時は、ほとんど就職は不可能になると言うことです。 改正案では当然のことながら、再就職の保障 まで個人を保護してはいません。よほどのことがない限り、見て見ぬふりをしていくことになります。

 

それ故に、どのように法律で義務や規定を制定しても、その後の報告者保護がなければ、現実にはよほどのことがない限り、誰も退職まで覚悟して報告はしないだろうということになります。今までの現場の例から、ほとんどの場合は、報告者は表面的には賞賛されても、職場では差別扱いを受け、間接的ないじめに合い、いずれ退職していくことが多いです。 全国で約5万人を超える人が、福祉関係の職場に勤務しています。そのうちの何人が職場をなくし収入もなくなり、家庭経済を破壊するかもしれないのに、報告する勇気のある人がいるのかと思います。

 

例えが異なるかも知れませんが、スウェーデンでは、暴力や犯罪を目の前に見ても、普通の人は何もしてくれません。その理由は助けようとして加害者に必要と思われる暴力をした場合でも、多くの判例では加害者が怪我をすると、助けようとした人が過剰防衛として、今までに何人も暴力行為として判決を受けている例があるから、何もしない方が安全なのです。 チーフに問題がありますと話したらよいと、政治家や専門家はいいますが、それは自分の首を絞めるようなものです。
 

実例を記載しますと、昨年(2010年)12月に介護福祉学校の生徒が、ある高齢者施設の実習をしました。その施設で数人の生徒たちは、学校で学んだのとは違う介護問題の疑いがある行為を目にし、実習後学校の指導教師に問題を報告しました。教師はそれらの報告をまとめて、コミューンに報告書を提出、それによってコミューンは、施設に書面による改善要求をしました。その後抜き打ち検査をしたところ、改善が十分にされていないことが判明し、期間内に改善し報告することを指示しました。しかし、このケースでも明確のように、施設内の問題については、職員たちの誰からもサラ法に基づい た報告ではなく、実習した生徒たちの報告によるものです。つまり長い間問題があったにもかかわらず、誰も報告をしていないことです。コミューンは、今年の春にその会社と契約継続について検討することになりました。これが実態です。

 

そうした問題を把握して、今年からヨーテボルグのコミューンでは、匿名で報告できる電話番号を設置しました。いままでは事実証明が必要ということから、報告者の名前を記録することになっていましたが、匿名で報告できることにより、早期問題解決ができればと期待しています。

 

下記のサイトが政府の改正案です。

Lex Sarah och socialtjänsten – förslag om vissa förändringar

http://www.riksdagen.se/Webbnav/index.aspx?nid=37&rm=2009/10&bet=131&typ=prop

 

 

  ( 2011年1月29日 記載 )

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