From Stockholm
HOME 福祉紹介 ニュース 観光・旅行


ミニ情報 リンク集 掲示板


Last Update: 2003/11/1

介護実習の体験記録

 
スウェーデンの高齢者福祉介護連載:

三浦典子さん体験 その3.


ビニエムとの会話から・・・


ソマリアから一人で仕事に来ている彼に、スウェーデンの社会政策について聞いてみた。この国に住む人にはいいと思うが、個人的には充分過ぎるくらいだと彼は言った。特に彼の住む国では通用しない。同じ仕組みを活用するのは不可能だ。税金が高いのも一つの理由。そして、国民性の問題。ソマリアでは、高齢者の介護としては病院か自宅しかない。介護者も家族が通常で、病院に行こうとしても歩く以外に手段はない。誰も連れに来てはくれない。もし病院にさえ行けなければ医者にかかることを諦めなければならないのが現状である。スウェーデン人にとっては当たり前でもね、と。そして、自分は祖国に戻り、家族と暮らすのが夢だと語った。ソマリアやエチオピア。このような国々の実情を、私はどこまで知っているだろうか。世界の中でも貧しい国という、単純なイメージでしか考えていなかったような気がして、とても恥ずかしかった。そしてそんな彼との会話の中から、視野を広く持つ意味を感じた日でもあった。

家族とプロの介護者との違いは・・・


二日目以降は、チリから来たアレハンドロという男性が私の担当になった。彼はとにかく陽気で、いつも冗談を言っては人を笑わせている。彼と一緒に訪れた部屋で、私はバルボーリという女性と親しくなった。彼女は
92歳であるが身体的にも精神的にも非常に元気。私達は、毎日彼女に朝食を作り、薬を飲むのを確認する。ある日、彼女は突然彼に薬を飲ませてと頼んだ。いつもは嫌々ながらもヨーグルトと一緒に自分で口に運んでいるのに、今日は突然ワガママを言い始めたのだ。しかし彼は言った。「いいかい?いつもは自分で食べているだろ?(腕を上げながら)ほら、体操だって得意じゃないか。僕は手伝わないよ。自分で食べなきゃ!」と見ているだけ。彼女はぶつぶつと文句を言いながらも、ようやく自分で食べ始めた。アレックスは言う。「彼らは時に子供と同じようになる。介護には忍耐が必要。でもこれはとても重要なことなんだよ。ほんの些細な動きが今の自分にとってどれだけ大切かということを彼らは知らないからね。」家族のように接しながらも、決して馴れ合いにはならない。自立して出来ることには可能な限り手出しをしない。プロとしての介護者の自覚をしっかり持っているのだと感じた。


 (ホームヘルパー、三浦典子、東京: 2003年)


               介護実習の体験記録のINDEXに戻る