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介護実地体験

 
スウェーデンの高齢者福祉介護連載:

三浦典子さん体験 その 5.


新しい暮し方を求めて


次の研修先は、訪問介護の現場。これは私も日本で同じ仕事をしているために、同行していても理解しやすい仕事だった。ここでのヘルパーの訪問時間は日本に比べて平均的にとても短い。そして、必要に応じて一日に何度も訪問するので、一人暮らしの方にとってはヘルパーの訪問が楽しみでもあり、生活のリズムを作る事にもなる。

ここでも、
90歳以上の元気な一人暮らしのお年寄りにたくさん出会った。多少不便でも、自分の意思で自分の家に住み続ける。その思いを強く持った人が多いように見える。こうやっていろいろな家を訪問すると、いかに施設が自宅の雰囲気を作り出そうと努力しているかが良く分かる。と同時に違いも感じた。

施設は、たとえ同じものが置かれていてもどこか綺麗すぎるのだ。しかし、家には歴史がある。壁には垢や汚れがあり、その人が夫や子供と過ごしてきた時間、生きてきた証がそこにはある。

よく、スウェーデンは施設から在宅介護に変わったという話を聞くが、正確に言うと変わったのではなく、施設で在宅と同じような雰囲気で介護が受けられるようになり、多方面からの援助により、在宅での暮しを続けることが以前より可能になってきたというのが現状だ。施設と在宅の境界線が薄くなってきたというのが正しいのではないだろうか?

日本でも果たしていつまで在宅での暮しが可能なのか?出来る限り自分の家で暮らし続けたいという願いをどのように実現させるかが、我々ホームヘルパーを含め、在宅支援者の今後も大きな課題だと思う。

研修の休日に、スウェーデン障害研究所と福祉研究所を訪問した。ここは政府の支援のもとに障害者や高齢者が社会で安心して暮らす為の補助器具や設備を研究している国家機関である。ある部屋では室内に全てハイテク機器が組み込まれ、より安全で自立した生活を送れるような住空間が紹介されていた。

確かにどんな障害を抱えていても、それを補える技術さえあれば、健常者と同じ生活を過ごすことが出来る。日本ではこのような設備がどこまで普及しているのか分からないが、確かに必要なものばかりだ。もちろんお金はかかる。でも、もともと高齢者や障害者の生活には普通以上のお金が必要なのは当たり前。そんな高いお金は、などと頭で計算だけする前にまずは国が支援して積極的に取り入れ、誰もが持てることを可能にしていかないと、いつまでも研究者の道具でしかない。個人のレベルで必要な人々が実際に使用して、初めて生きてくるものなのだからと強く思った。

ホームヘルパー、三浦典子、東京: 2003年


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