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Last Update: 2002/03/29

介護実地体験

 
スウェーデンの高齢者福祉介護連載:

三浦典子さん体験 その 6.
最終記  

私たちに必要なこと・・・


そして最後に訪問したのが、グループホームと言われる、痴呆症の高齢者が共同で生活をする施設。ここには
6人の女性がユニットケアを受けている。部屋は個室だが配置や内装などは他の施設とは異なり、食事も一緒に中央のダイニングで食べる。

ここでの時間はゆっくりと流れていく。どの高齢者に対しても同じではあるが、痴呆症の対するケアには、特に専門の知識と経験が必要だと思う。介護技術は他の場合と同じでも、精神的な配慮がとても重要になる。一人一人とのコミュニケーションがより深く求められ、私はこれまでにない戸惑いを感じた。言葉が通じない環境で、私が伝えられることは何か。

最終日に、私は折り紙で千羽鶴を折った。目を見て言葉をかけ、そして手を握る。たったこれだけの行為でも、一瞬でも何かを感じてもらえればいい。そう願って手渡した鶴を、嬉しそうに見てくれた時は反対に私が彼女たちから言葉にならない安らぎを貰った。

自分らしくあるために


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ヶ月間の研修は、毎日がとにかく精一杯の日々で、あっという間に時が過ぎていった。今回の研修は高齢者介護施設での実習が主な内容だったが、それらは日本での実際との比較にはとてもよい経験になり、今後ますます日本が学ぶべきことが多いと思った。

日本の今の社会福祉制度は、深く掘り下げ行動を起こす前に、うわべだけで物事を判断しているような気がする。福祉に使う税金が高いと経済が悪化する、などは、まずは環境を整えてから考えるべきではないか。そして何より今回私が学んだことの多くは、たくさんの人との会話から生まれたものだった。

折りしも私が滞在中にアメリカとイラクで戦争が始まり、人々が自分や家族の幸せについて真剣に考える機会が多かった。私も彼らと毎日のように語り合った。その時はまさに、国も言葉も肌の色も障害も、何の隔たりもない。人間として真正面から向き合っていた。

ある人が言った。「君と僕の境界線って何処にあると思う?」彼は自分の頭を指して言う。「ここだけだよ。境界線なんて頭の中で作り出したものだ。一歩踏み出せば同じ事。何処に行っても人に違いはない。何故なら皆同じ心というものを持っているからね」それはもちろん介護の上でも同じだ。技術や制度だけを学ぼうとしても、その人の心に本当に必要だと思える気持ちがなければ何の意味も持たないのだと、この研修で実感した。そして自分らしくあるためにどう生きるべきか。忘れがちで大切なことを気がつかせてもらえた。

一期一会・・・


私の大好きなこの言葉を体験したような旅だったが、この経験や気持ちを、これから日本での活動を続ける上で少しでも役立てていければと思う。そしていつかまたあの元気なお年寄りや仲間に会いに行きたい。

最後になりましたが、この貴重な経験をサポートしてくださった潟Oローバルユースビューロー、世田谷ボランティア協会を始めとする、全ての方々に心から感謝いたします。


      ホームヘルパー、三浦典子、東京: 2003年
     
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