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高齢福祉社会はどこへ

  ついに、ここまで落ちたか、スウェーデンの高齢者福祉:

その7.89歳になる独身生活を続けてきた、ある婦人の話:

一度も結婚することなく独身生活を続け、定年まで店員として働き、数年前までは健康であったが、今は健康を害して、毎日ホームヘルパーの介護を受けなくてはならない、89歳の車椅子生活を過ごしている婦人の話である。

独身で生活を続けてきただけに、自分の考え方を確立している、この婦人のホームヘルパーつにいて話す内容は、現在と過去を比較するには良い例といえる。

婦人は、昨年一度もアパートから車椅子で外出したことはない。ホームヘルパーに何回も散歩に出して欲しいと希望を伝えたが、「時間がないと」いつもの返事。
以前は、掃除とか、ベッドの作り変えのみでなく、散歩にも買い物にもついて外出させてくれた。コヒーなども沸かしてくれて、一緒に世間話もしてくれて、楽しい時間を一緒に過ごすことができたが、今はベッドの作り変えをし、簡単に掃除をすると、次の仕事があるからと急いで出て行く。

ほんの数分の自分との会話する時間もないと言う。以前は、毎月一度は掃除の時に窓拭きなどもしてくれたが、最後にしてくれたのは、去年の夏だった。窓は汚くよごれたまま。

なぜそのようになったのか、介護判定委員が来た時に質問した。経費節約と人員不足から、最低限に必要なこと以外は、しないことになったと言う。しかし、社会福祉サービスの法律では、人権保護を目的とし、最低な社会生活に必要な介護は何かを既定しているのではないかと抗議したが、コミューンの政治家からの指導で、経費及び時間的制限があるので、婦人の希望通りにはできないと判定されと言う。

80歳以上の高齢者には、外出が必要ないと判定したと言う。何を基準で決めたのか質問しても答えてはくれなかったと言う。
婦人は、誰のための判定委員なのか・・と語る。

軽い脳梗塞に倒れた時に、病院で医者が「普通の状態で死にたいか、それともドロップの点滴を受けて生きたいか」と婦人に聞いたと言う。婦人は、「少しでも健康で長く生きられるように努力するのが、医者の努めではないか。それをこのような質問を患者にする医師の気持ちが理解できない。医師の名前を聞きたい」と質問し、医者の名前を確認した後、発言した内容について、医療監督委員会に抗議届を提出したと言う。

この婦人の会話を聞いて実情調査をした。

現在80歳以上の高齢者で、約60%はコミューンからのホームヘルプを受けていない健康な高齢者である。コミューンは経費節約から、以前は普通であった、外出、散歩、買い物、会話の時間などは、生活に必要ないと、ホームへルパーに指示を与えていることがわかった。しかも、それぞれの行動や介護をポイント制度にして、判定委員が必要度を決定し、ホームヘルパーは要介護者たちの意見や希望は、ほとんど無視していることが判明した。生きる元気を無くさせているようなものである。一日中車椅子に座って、窓を眺めている生活を強制しているのである。

ある准看護婦で、20年近くもホームヘメパーをしてきた職員は、あまりにひどくなった現状と老人たちが可愛そうになり、とても今の勤務を続けていけなくなったと退職した。
独立してホームヘルパーの個人会社を設立、今まで介護してきた、昔の受け持ち区域から、コミューンより引継ぎをして、自分の顧客とし、以前のように、時間や経費にとらわれない、生きる喜びを与えられる介護を始めたと言う。

自分の受け持ちの老人たちと、コヒーを飲みながら、ゆっくり会話できる時間を持ち、買い物も一緒にしていると言う。部屋にある花にも水をあたえたりする時間は、今まで勤務していたコミューンのホームヘルパーの時はいつも駆け足をしていて、そうした事はする時間がなかったと言う。今は自分の会社であり、自分が老人のために必要と思うテンポで、介護をしていると言う。

老人たちは、外出できる喜びを得て、社会から孤立させられることもなく、コミューンから派遣されるホームヘルパーの時には、一年に数回しか外出できず、一ヶ月に一度しかシャワーを浴びる事が出来たのみであるが、今はシャワーをしたい時に出来るようになったと、生きる元気を取り戻したと言う。

職員は、高齢者が少しでも生きる気持ちを持ち続けて、生きていくかぎり長い目で見れば、結局は社会的資源と経費、つまり税金の節約にも繋がる見方を、なぜコミューンはしないのか。目先の計算しかしないと、大きな不満を持っていると話してくれた。

  (知人の元准看護婦と89歳の婦人の会話より 2003年2月2日 記載)
            

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