From Stockholm
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高齢福祉社会はどこへ

 
これからの福祉社会

日本の福祉関係者のなかでは、スウェーデンの社会福祉は未来の構想とまで言われてきた。はたして現在もそうなのか・・・・。

EU加盟により莫大な加盟金(2002年には、スウェーデンの加盟金は、20.500.000.000:-クローネ、)の支払いを可能とするために、ただでさえ経済の不況を抱えて、失業者も減少することもない現在、経済の引き締め対策が実行され、子供の養育手当、病気休暇手当、失業手当、福祉手当などが削られているが、まず最初にその影響をまともに受けたのが、医療と福祉そして教育関係である。

特に福祉では、施設の縮小と職員の人員整理が数年前から実施され、多くの福祉職員が失業に追われたのは記憶に新しい。

高齢者福祉では、問題はさらに大きくなり、寝たきり老人の増加を含め、老人施設の入居者への介護も十分にすることが出来なくなり、人権問題にまでなってきている。

例えば、ストックホルムの北部にある、ソレンツンナ市の老人福祉施設では、50人の入居者に対して、職員の数は極端に少なく、家族から苦情が絶えない。職員の配置状態をみると次の通りである。

朝から午後2時までは職員が14人、その後午後10時までは6人、夜間勤務者は50人の入居者に対してたった3人である。職員は当然すべき介護もすることが出来ないために、強制的に午後2時にはベッドに寝かせる。老人の多くは、自分で行動が出来ないために、部屋の中で一日中過ごしている状態である。

以前は職員がベランダに連れ出し、天気の良い日には散歩をしていたが、今では職員不足でその時間すらなく、自分で歩けない老人はベッドか車椅子に座ったままの生活を強制されている。シャワーも1ヶ月に1回だけだ。

これも民営化と経費節約のみを考えている、市の政治政策の結果である。日本で言われている、高福祉社会のモデルとまで言われたスウェーデンも、長期不況により税収入が悪化し、福祉もその影響を免れることはできない。

一部の都市では、グループホームなどを建設して福祉に力を入れているが、このまま不況が続けば、施設の建設も考慮しなくてはならなくなるだろう。

ここ数年スウェーデンの貨幣価値が極端に落ち、そのために好景気を期待できるのは、外国からの観光客が多くなったことだけだ。

日本の福祉関係者は、スウェーデンでは老人施設に入居を数年待たなければならず、その間に痴呆症など症状が悪化して、家庭で死んでいく老人が増加していることを知っているのだろうか・・・。

また、痴呆症老人の家庭介護に疲れて身内家族による、老人への暴力も増加している現実をどう考えているのだろうか・・・。

福祉の仕事に深く関わるだけ、そうした現実の問題を見るにつけ、高福祉のスウェーデンは、この先どうなるのであろうかと思う。

(2001年12月1日 記載)


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