From Stockholm
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友人の介護記録

           
その6. 退院

毎日、リハビリ担当者や看護婦たちが計画した作業と訓練により、体力の回復とともに、彼の動きは驚くほど良くなってきた。退院前に各種のテストをし、関係者全員が集まり、私も参加して結果報告を受けた。テストの結果、特にリハビリの効果が顕著にみられたのは、杖で散歩ができ、自分でトイレまで行くことができ、さらに日本から帰宅した当時には麻痺状態であった、手足の動きもよくなった。特に障害を受けなかった、左半身の手足の動きは、健常者と変わりなくなったことは、今後の生活に障害による影響も少なくなり嬉しい限りである。

いよいよ退院である。担当職員のみでなく、施設の同居人たちの多くに、お祝いの言葉をかけられ、中には「よかったなー。早く退院できるように俺もがんばるぞ」と握手しながら一緒に喜んでくれた。アパートまでSTT(スペッシャルトランスポートサービス)から派遣された、車椅子のまま乗車できるミニバスで、夫婦一緒に帰宅したのは、2月26日であった。

退院した後、家庭治療と市内の福祉施設でのリハビリ治療を続けていかなくてはならない。そのためHandensjukhusのディケアーセンターに通うことになった。冬の寒い雪の中S氏の車椅子を押して、坂を上がったり下りたりと、片道30分以上もかかる長い道を、病院まで毎週リハビリに通った妻の忍耐と優しい気持ちには、頭が下がる思いであった。

私もある日訪問した時に、リハビリセンターまで彼の車椅子を押して、彼の妻と歩いたが、雪が20cmほど積もっており、車椅子に雪のかたまりがついて、普通の道でも大変であったが、坂道はまっすぐに歩くことができず、ジグザク行進して行かなければならず、妻に「いつも雪の日は、こんな状態なのか」と質問すると「そうだ」という答え。

彼に市の福祉課からSTT使用カードが発行されており、なぜそれを利用しないかと質問したところ、「前日から行く時間を予約しなくてはならず、毎日の行動が不規則で、本人の健康状態でいけなくなることもある。そのため予約変更したりと連絡が大変で、自分で車椅子を押して行けば良いから、この方が自分には楽だ」と言う。

しかし、雪の中の車椅子を押して坂道を歩いていくのは、大変な作業であった。まず、完全なまでに冬服を着せなければならない。手袋もはめ、暖かい帽子を頭からスッポリとかぶり、完全武装である。雪で滑りやすく、車椅子から落ちるといけないので、身体をベルトで車椅子に巻きつけるようにしなければならない。

私が訪問した日は、幾分温かい日ではあったが、温度はマイナス10度であった。長い冬のスウェーデンでの介護生活は並大抵のことではない。彼女の努力に頭が下がる思いであった。

( 2002年5月29日 追記)

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